研究課題/領域番号 |
16085209
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
西村 幹夫 基礎生物学研究所, 高次細胞機構研究部門, 教授 (80093061)
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研究分担者 |
林 誠 基礎生物学研究所, 高次細胞機構研究部門, 助教授 (50212155)
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キーワード | ペルオキシソーム / RNAi法 / PEX遺伝子 / apm変異株 / タンパク質の細胞内輸送 |
研究概要 |
本年度は、PEX遺伝子の役割を明らかにするため前年度から引き続いて以下の2つの研究を推進するとともに、ペルオキシソームのプロテオーム解析を行った。 1)PEX遺伝子群の逆遺伝学的解析 PEX遺伝子はペルオキシソーム制御遺伝子の総称である。これらのPEX遺伝子を対象にしてRNAi法によるノックダウン株を作成した。これらのうちでPEX10ノックダウン株は、根の細胞伸長が抑制される、葉の一部が淡緑色である、稔性が低いなど強い表現型が認められる。現在、これらの表現型とペルオキシソーム機能の関連について検討中である。一方、PEX16ノックダウン株の細胞内には、1つもしくは少数の大きなペルオキシソームしか認められない。このペルオキシソームはしばしば内部に小胞状の膜構造物を含んでおり、ペルオキシソーム膜形成機構のモデル系として解析中である。 2)ペルオキシソーム形成不全変異体 GFP蛍光によって可視化されたペルオキシソームの形態を指標に単離されたapm変異体のうち、apm2、apm4突然変異体は、それぞれPEX13とPEX12遺伝子に変異が認められた。これらの変異体ではPTS1およびPTS2タンパク質の輸送効率が低下しており、PTS1タンパク質のサイトソルにおけるレセプターであるPEXSがペルオキシソーム膜上に蓄積する。以上の結果は、PEX13とPEX12遺伝子産物がタンパク質レセプター複合体のペルオキシソーム膜上での移動に関与する可能性を示唆する。 3)ペルオキシソームのプロテオーム解析 ペルオキシソームタンパク質を網羅的に同定するため、材料をシロイヌナズナからダイズに変更してプロテオーム解析を行っている。そのため新たにダイズから高純度のペルオキシソームを単離する方法を開発した。MS解析で得られたタンパク質のペプチドMSフィンガープリントをダイズESTデータベースと参照することで従来より高感度でペルオキシソームタンパク質を同定することが可能になった。
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