研究課題/領域番号 |
16086201
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松田 洋一 北海道大学, 先端科学技術共同研究センター, 教授 (70165835)
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研究分担者 |
黒岩 麻里 北海道大学, 先端科学技術共同研究センター, 講師 (20372261)
梅原 千鶴子 北海道大学, 先端科学技術共同研究センター, 助手 (80291227)
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キーワード | 鳥類 / 爬虫類 / トゲネズミ / 性染色体 / 性決定 / FISH / 比較染色体マッピング / 染色体相同性 |
研究概要 |
スッポンにおけるC-分染核型解析と18S-28SリボソームRNA遺伝子のFISHマッピングによって、これまで性染色体が未分化であるとされてきたスッポンが雌ヘテロ型(ZZ/ZW型)の性染色体構成をもつことを見いだした。さらに、爬虫類と鳥類の性染色体の相同性と起源を明らかにする目的で、ニワトリZ連鎖遺伝子である、DMRT1、GHR、RPS6、ACO1、CHD1遺伝子をRT-PCR法によってスッポンとシマヘビからクローニングし、それぞれの種に対して比較染色体マッピングを行った。その結果、全ての遺伝子はスッポンの6番染色体長腕とシマヘビの2番染色体短腕にマップされた。これらの結果は、ニワトリZ染色体はカメとヘビの常染色体に対応し、鳥類と爬虫類の性染色体の起源が異なることを明らかとなった。また、DMRT1遺伝子は鳥類における強力な性決定候補遺伝子であるが、スッポンとシマヘビでは常染色体上に存在することから、鳥類と爬虫類の性決定機構は異なる可能性が示唆された。そこで、来年度はスッポンとシマヘビのZ染色体と相同性をもつヒトの染色体領域から爬虫類の性決定に関わる候補遺伝子の探索とその機能の解析を行う予定である。 次に、SRY遺伝子が存在せず、雌雄ともにXO型の性染色体構成をもつトゲネズミの性決定様式を明らかにする目的で、性決定関連遺伝子群のcDNAプローブを用いて、奄美大島産(Tokudaia osimensis)と徳之島産(Tokudaia sp.)のトゲネズミのゲノムDNAについてサザンハイブリダイゼーション解析を行った。その結果、両種ともに雌においてDax遺伝子が複数コピー存在することが判明し、Dax遺伝子のコピー数の変化とそれに伴う重複遺伝子の機能分化がトゲネズミの雌化を促進している可能性が示唆された。来年度は引き続き他の性決定・性転換関連遺伝子群について詳細な解析を行う予定である。
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