研究課題/領域番号 |
16086202
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
藤枝 憲二 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60173407)
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研究分担者 |
向井 徳男 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50374799)
田島 敏広 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50333597)
菅原 照夫 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40250451)
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キーワード | Antley-Bixler症候群 / 複合型ステロイド合成障害 / 外陰部異常 / P450 oxidoreductase (POR) / StAR / Yeast Two-hybrid Screening |
研究概要 |
先天性骨系統疾患の一つであるAntley-Bixler症候群(ABS)は外陰部異常を伴う群と伴わない群とに大別される。外陰部異常を伴わないABSは常染色体優性の疾患で、FGFR2遺伝子のヘテロ接合性変異が同定されている。他方、外陰部異常を伴うABSは常染色体劣性の疾患でしばしばステロイド合成障害を合併することがこれまで報告されているが、その原因は不明であった。 複合型ステロイド合成障害と外陰部異常を伴うABS症例において、ミクロゾームに存在するP450酵素の活性化に必須とされるP450 oxidoreductase(POR)に着目し、その遺伝子解析を行った結果、intron6において731+1 G->Aの1塩基変異と、exon11においてコドン457のアルギニンがヒスチジンに変換するミスセンス変異(R457H)をそれぞれヘテロ接合性に認めた。両親の解析からintron6の変異は父由来で、exon11の変異は母由来であることが判明した。intron6の異常によりC端側が欠損する異常タンパクが生成されると予想され、また、exon11のR457H変異体の機能解析からはPORとしての活性が低下していることが明らかとなった。 このように複合型ステロイド合成障害と外陰部異常を伴うABS症例において、POR遺伝子異常を世界で初めて同定した。機能解析の結果からは、機能喪失型の遺伝子変異と予想されたことから新たな病因と考えられた。 今後も外性器異常を有する奇形症候群に合併した副腎不全例を対象に責任遺伝子の同定を試みていく予定である。 リポイド過形成症の病因の一つとしてStAR蛋白と相互作用する因子が想定される。この因子の同定に関しては、yeast Two-hybridシステムを利用してマウス副腎のライブラリーについて実施する計画である。そのためのマウス副腎cDNAライブラリーの構築を行っている。また、baitとして用いるStAR発現plasmidの構築も平行して行っており、間もなく完成の予定である。このスクリーニングにより新規ないしは既知のタンパクが複数同定されてくることが予想されるが、StARタンパクとの相互作用の有無や様式の確認と、生体内組織分布、細胞内局在などの発現プロフィールを順次検討していく予定である。
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