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2005 年度 実績報告書

脳の性分化がもたらす情動反応性の雌雄差に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16086204
研究機関東京大学

研究代表者

菊水 健史  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90302596)

研究分担者 森 裕司  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40157871)
キーワード早期離乳 / 性分化 / 幼少期環境 / 脳由来神経栄養因子 / ミエリン形成 / 神経新生 / 前頭前野-辺縁系
研究概要

本年度は早期離乳モデルにおける雌雄差に関わる神経系の検出を試みた。マウスを生後21日目に離乳した通常離乳群,あるいは生後14日に母マウスから隔離した早期離乳群を設け、成長後の行動および神経系の発達を測定した。早期離乳群のオスでは、生後3週から8週齢にいたるまでの間、不安行動の増強が認められたが、メスマウスでは早期離乳の影響は生後3週齢でみとめられるものの、その後消失することが明らかとなり、早期離乳されたオスマウスとメスマウスでは行動発達に差異が存在することが明らかとなった。早期離乳群の不安行動の変化に平行して中枢神経系の発達の指標とされるミエリン塩基タンパク質の発現が早期化することが明らかとなり、また脳重量も低下することが明らかとなった。また脳の発達に必須である脳由来神経栄養因子(BDNF)発現量が前頭前野ならびに海馬において低下し、さらには海馬歯状回における再生した神経細胞数の低下が確認された。これら中枢発達の変化はすべてオスでのみ認められ、メスでは認められなかったことから、これら中枢における早期離乳ストレスの応答には明らかな雌雄差が存在した。さらに近年情動行動との関わりが明らかとされてきたBDNFに着目し、不安行動の変化とそれに伴う中枢における分子レベルの変容がBDNFの発現量によって制御されているか否かを調べた。具体的には早期離乳されたマウスの生後15日から21日までにBDNFを脳室内投与し不安行動変化を調べた結果、BDNF投与群では不安行動が緩解することがあきらかとなった。このことより、前頭前野から辺縁系にいたるBDNFの発現量が不安行動の制御を行っていることが示され、BDNFの発現量の雌雄差が行動の雌雄差につながることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Behavioral and neurochemical consequences of early weaning manipulation in rodents(Review article)2006

    • 著者名/発表者名
      Takefumi KIKUSUI, Kayo NAKAMURA, Yuji MORI
    • 雑誌名

      Applied Animal Behavior Science (In press)

  • [雑誌論文] Social buffering : Relief from stress and anxiety (Review article)2006

    • 著者名/発表者名
      Takefumi KIKUSUI, James T., Winslow, Yuji MORI
    • 雑誌名

      Proceeding of the Royal Society of London, series B (In press)

  • [雑誌論文] Alarm pheromone increases defensive and risk assessment behaviors in male rats2006

    • 著者名/発表者名
      Yasushi KIYOKAWA, Takefumi KIKUSUI, Yukari TAKEUCHI, Yuji MORI
    • 雑誌名

      Physiology and Behavior 87

      ページ: 383-387

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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