研究課題
本研究は性ステロイドホルモンを介した転写制御機構に着目し、その転写制御因子本体である性ステロイドホルモン受容体(エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体)およびその転写活性に必須となる転写共役因子群の機能解析により性分化の分子制御機構解明に着手してきた。これまで単離取得したエストロゲン受容体転写共役因子p68およびp72遺伝子の高次生命機能を探るため、各々遺伝子欠損マウスを作出・解析した結果、細胞増殖低下・細胞死誘導による胚性致死を示した。P68/p72はエストロゲン受容体と結合するほか、miRNAプロセッシング複合体構成因子として機能することが知られており、実際、これら遺伝子欠損マウスでは複数のmiRNAプロセッシングに阻害が生じることが判明した。一方、アンドロゲン受容体依存的なクロマチン構造変化を伴う転写活性を指標とした探索から、新規転写共役因子USP22の同定に成功した。USP22はTATA-boxが無い標的遺伝子プロモーターにて機能するTFTC/STAGA複合体構成因子であり、ヒストンH2Bの脱ユビキチン活性を示す転写活性制御因子であることを明らかにした。これらの結果はアンドロゲン受容体の標的遺伝子特異性を規定する転写共役因子といえる。以上、これら分子が性ステロイド受容体を介し、雌雄差を規定する可能性が強く示唆され、今後これら分子の脳神経特異的遺伝子欠損マウスを作出し、高次機能解析は非常に興味深いと考えられる。
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