研究課題/領域番号 |
16086206
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
筒井 和義 広島大学, 総合科学部, 教授 (20163842)
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研究分担者 |
坂口 博信 独協医科大学, 医学部, 助教授 (30162291)
岡ノ谷 一夫 理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 生物言語研究チームリーダー (30211121)
浮穴 和義 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10304370)
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キーワード | 脳の性分化 / ニューロステロイド / エストラジオール / 7α-ヒドロキシプレグネノロン / P450 / Ad4BP / SF-1 / cDNAマイクロアレイ / 鳥類 |
研究概要 |
従来、脳の性分化には生殖腺が合成する性腺ステロイドホルモンが重要な役割を担うと考えられていたが、最近になり、生殖腺に依存しない脳の自立的性分化機構が示唆されるようになった。本研究は、脳の構造と行動に最も典型的な性差を示す鳥類を用い、我々が発見した脳が合成するニューロステロイドの作用に着目して、脳の自立的性分化機構の解明を目的としている。我々は鳥類の脳におけるニューロステロイド生合成経路の大略を明らかにしたが、本年度は、脳の性分化に重要な時期となる感受性期の脳におけるニューロステロイド合成の性差をウズラを用いて解析した。その結果、エストラジオールを合成するチトクロムP450aromと新規ニューロステロイドである7α-ヒドロキシプレグネノロンを合成するチトクロムP450_<7α>の発現に性差があり、感受性期の雄の間脳で高いことがわかった。また、エストラジオールと7α-ヒドロキシプレグネノロンの濃度も感受性期の雄の間脳で著しく高いことがわかった。さらに、P450遺伝子の転写調節因子であるAd4BP/SF-1の発現の性差を解析したところ、感受性期の間脳ではAd4BP/SF-1の発現が雄で著しく高いことがわかった。鳥類の行動の性差は間脳の構造の性差から生じることが知られており、ニューロステロイド合成の性差が鳥類の脳の性分化を誘導していることが示唆された。現在、ニューロステロイド合成の性差を導くAd4BP/SF-1の作用機構やニューロステロイドが誘導する脳の性分化機構などを詳細に解析している。一方、脳の基本的な性が遺伝的に決定される可能性もあり、脳の性分化を誘導する脳遺伝子を同定するために、完全長cDNAマイクロアレイを用いた解析も進めている。
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