研究概要 |
1)器官群が協調して発生するメカニズムはこれまでほとんどまったく分かっていなかった。我々はこの問題に取り組み、泌尿生殖系器官群(外内生殖器群、骨盤内尿道、膀胱、前立腺)などがいかに協調して発生するのかを解明した。未分化な間葉(PCM)がソニックヘッジホッグやインディアンヘッジホッグ(Shh,Ihh)を発現するこをと見出した。またこうした発現シグナルを受容して未分化間葉が骨盤内尿道間葉や膀胱平滑筋に分化することを見出した。未分化間葉は本研究において初めて性質の異なる複数の組織、即ちSMM陽性の平滑筋組織や男性ホルモンレセプター(AR)陽性組織に分化できることが明らかになった。本研究は分子医学的にも将来の移植医学的にも大きな知見を提供するものである。 2)近年の分子発生医学のマウスにおける進展を受けて、マウスの生殖系器官の発生、解剖学、及び分子発生的知見を統合したオントロジーマップの作成が世界的レベルにおいて企画された。我々はこの国際コンソーシアムに日本から招へいされ、泌尿生殖系組織のオントロジーの記載を行った(2007 in press)。 3)細胞増殖因子群としてFgf系がリダンダントに作用して総排泄腔、尾部、外生殖器形成に寄与することをコンディショナルKOマウスの解析によって見出した。Fgf系遺伝子群は協調して尾部の発生に重要であることがダブルノックアウトマウス解析によって判明しつつある(未発表データ)。
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