研究概要 |
平成19年度はいくつかの懸案であった業績をまとめることが出来た。 泌尿生殖系器官が協調して発生するが、その協調発生メカニズムに細胞増殖因子ヘッジホッグ系が効いている事、さらに膀胱などを含む泌尿生殖系器官の協調発生機構を遺伝学的な追跡実験によって世界で初めて証明した(Haraguchi, et. al., Development, 2007)。さらにEMT(上皮間葉転換)はこれまで体節の形成やガンなどいくつかの生物現象に関与している事は知られていた。我々は胎児後端の協調発生機構において後肢、外生殖器、尾部を含む協調発生機構にBmpシグナルを介したEMTの適正な制御が重要である事を示した(Ohta, et. Al., Development, 2007)。 本成果は後肢、生殖系に重大な異常を示すマーメイド症候群の理解に役立つと期待される。さらに器官形成一般においても先駆的モデル系となる事が期待される。 またDlx遺伝子は形態形成に関与することが知られている制御因子であるが、Dlx遺伝子は細胞分化の制御においても機能を有し、胎児精巣におけるライディッヒ細胞でのアンドロゲン産生を制御することが初めて証明された(Nishida, et. al., Endocrinology, 2008)。 以上のように世界的に有意な業績を挙げる事が出来た。
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