研究課題/領域番号 |
16086210
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
佐久間 康夫 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (70094307)
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研究分担者 |
加藤 昌克 日本医科大学, 医学部, 助教授 (90143239)
木山 裕子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60234390)
近藤 保彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (00192584)
折笠 千登世 日本医科大学, 医学部, 助手 (20270671)
濱田 知宏 日本医科大学, 医学部, 助手 (90312058)
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キーワード | 内側視索前野 / 性的二型核 / 前腹側室周核 / エストロゲン / マイクロアレイ / ソマトスタチン / アポトーシス / 細胞移動 |
研究概要 |
雄が雌より多数のニューロンを擁する内側視索前野の性的二型核(SDN-POA)と逆に雌が雄より細胞数の多い前腹側室周核(AVPV)それぞれの成立機転を明らかにする目的で、性分化の臨界期前後で部位特異的に発現する遺伝子を特定する実験を進めている。生後二日令と五日令のエストロゲン処置雌と無処置雌の脳から両部位をパンチアウトし、total RNAを分離して(1)汎用マイクロアレイシステムであるAtlas Glass Array 1.0(Clontech)および(2)産総研との共同研究により開発したエストロゲンに反応するラット遺伝子を対象とする「エストロアレイ」を用いて遺伝子発現の評価を進めており、性差の成立がアポトーシス、神経細胞の移動、あるいは細胞新生の何でによるかを部位特異的に比較検討している。汎用のアレイではラット内側視索前野の雄型化の磁気にソマトスタチン(SOM)遺伝子の活性化を見出し、in situ hybridization法により性分化の臨界期に限ってエストロゲンの作用のもとにSDN-POAで転写が起こることを発見し、Endocrinology誌に発表した。SOMメッセージを発現する細胞が性分化の期間を通じて雌で少なく、雄で多かった所見は、これまでSDN-POAの性差がアポトーシスにより成立するとの従来の仮設を明確に否定するものとして注目している。また、BrdUにより細胞周期のS期(DNA合成期)にある細胞群をラベルすることで、SDN-POAの細胞は胎生15日ころ生まれ、生後の細胞新生は見られないことを確定したので、SDN-POAの成立における細胞の移動の関与を明らかにする研究を進めている。特に、先に作成したエストロゲン受容体αプロモータ0/Bにより蛍光タンパクEGFP発現を行わせたトランスジェニックラットでSDN-POAが標識されることを見いだし、切片培養による蛍光標識細胞の移動を直視する実験を進めている。他に国内外の学術集会では、エストロアレイによりエストロゲンによる制御が明らかになった複数の中枢神経関連遺伝子を報告した。
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