研究概要 |
生殖腺(精巣と卵巣)は動物の生殖活動にとって不可欠な組織であり,その機能は視床下部-脳下垂体-性腺から構築される功妙な内分泌系によって調節される。本研究では,生殖腺で発現する遺伝子に着目し,その発現調節機構を明らかにすることで生殖腺における性分化機構,ならびに動物個体の性分化機構の解明を目指している。本年度は、(1)Emx2 KOマウスの生殖腺が消失するメカニズムを検討した。Emx2 KOマウス胎仔の生殖腺では上皮に異常が認められた。マイクロアレイによる検討を行った結果、EGFRの発現がKOマウスにおいて顕著に更新しており、細胞極性が異常となることが分かった。(2)Ad4BP/SF-1遺伝子は生殖腺や副腎皮質で発現する。生殖腺の分化機構を理解する目的で、胎仔生殖腺で発現するためのエンハンサーを同定した。このエンハンサーの活性を検討した結果、胎仔ライディッヒ細胞での発現を制御することが明らかになった。このようなエンハンサーはこれまでに同定されておらず、胎仔ライディッヒ細胞の系譜の検討や胎仔ライディッヒ細胞特異的な遺伝子破壊マウスの作成を可能とするものであり、現在マウスを作成中である。
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