研究概要 |
本年度における代表的成果は下記の通りである。 〈単一遺伝子疾患としての性分化異常症〉本年度は,われわれが同定した新規性分化異常症責任遺伝子CXorf6の機能解析を精力的に行った。機能解析により,CXorf6のコード領域上流にSF1/Ad4BP結合配列が存在し,機能解析により,SF1/Ad4BPがCXorf6の転写調節をしていることを見出した。また,CXorf6gがNotch関連転写活性化作用を有するMAML2と構造類似性を有すること,および,MAML2同様,細胞内では核小体に限局することを見出した。さらに,Notch関連遺伝子の解析を進め,CXorf6が,古典的なNotch標的遺伝子であるHes1,Hes5ではなく,非古典的なNotch標的遺伝子であるHes3の転写活性化能を有することを同定した。さらに,CXorf6にたいするノックダウン実験により,CXorf6がライディッヒ細胞におけるテストステロン産生に関与することを証明した。さらに,ノックアウトマウス作製を進め,ほぼ終了した。この過程において,雄のマウスが,正常遺伝子とノックアウト遺伝子のキメラの状態で,既に高度の不妊症を呈することを見出した。 <多因子疾患としての性分化異常症〉第1に,われわれが既に発見したエストロゲン受容体a遺伝子の内分泌撹乱化学物質感受性特定ハプロタイプ(AGATA)に特異的な2244bの微小欠失を見出した。これは,分子のレベルで感受性を説明する端緒となる成績である。第2に,男児外陰部異常症において,男性ホルモン産生酵素CYP17A1多型およびダイオキシン関連遺伝子ARNT多型が感受性因子であることを見出した。第3に,早発製卵巣機能不全患者において,アンドロゲン受容体遺伝子のCAGリピート数多型が疾患感受性因子であることを見出した。また,HLA解析をほぼ終了し,現在,統計解析中である。
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