研究分担者 |
宮原 郁子 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (40271176)
逸見 隆博 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 博士研究員 (30419692)
沈 建仁 岡山大学, 理学部生物学科, 教授 (60261161)
池内 昌彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20159601)
中里 勝芳 日本大学, 文理学部, 助教授 (50172292)
|
研究概要 |
本研究は光合成系II膜蛋白質複合体(PSII)の原子分解能におけるX線結晶解析を目指して,大阪市立大学,岡山大学,東京大学,日本大学の4カ所を拠点として展開されている.大阪市立大学では昨年度,新たに好熱性ラン藻培養系を立ち上げて野生型PSIIの結晶化を再現し,岡山大学でも独立に調製されている結晶と合わせてSPring-8における回折実験を行った.その結果本年度は,3.3Å分解能の回折強度データを収集することに成功してPSII結晶構造の精密化を進めた.PSIIの反応中心コアは10種類以上の低分子量サブユニットに取り囲まれている.それぞれを欠失させた変異体を結晶化して解析すれば,各サブユニットの位置を確定できるとともに,新たな結晶が得られX線回折分解能を向上させる可能性がある.本年度は,東京大学で準備された変異体の内,大阪市立大学でPsbTcを欠失させたものを,岡山大学でPsbMを欠失させたものを調製,結晶化させることに成功した.それらのX線結晶構造の結果と,精製試料中のPSII2量体と単量体の比率から,両サブユニットがいずれも,PSII2量体の安定化に寄与していることが明らかとなった.また本年度,東京大学では,新たにPsbJとPsbZの欠失変異体を調製することができた.日本大学では,蛋白質の過飽和度を溶解度曲線の近くに保って結晶化するミクロ透析結晶化ロボットを開発してきた.本年度は,実際にPSIIの結晶化に応用して溶解度曲線を決定し,その情報に基づいた結晶化実験を開始した.
|