研究課題
ウシ心筋チトクロム酸化酵素の1.65Å分解能の構造解析がほぼ完了した。デシルマルトシドで安定化した二量体酵素の立体構造との比較により、一部リン脂質の位置が結晶中での酵素分子の充填様式によって変化すること、さらに、単量体/二量体の相互変換がリン脂質によって制御されていることを明らかにした。3オキサトリデシルマンノシドで安定化した酵素の結晶化条件をさらに精密化し、pHの微調整により再現性を高めることに成功した。35年以上未解決のまま残されていたヘムA側鎖ヒドロキシファネシルエチル基の絶対配置が電子密度の解析により決定された。合成も結晶化も困難なヘムAのような分子の絶対配置の決定にX線構造解析が利用できることが示された。時間分解赤外分光装置の最終調整がほぼ完了し、チトクロム酸化酵素へのCO結合がフロー法によって測定された。NADH-ユビキノン還元酵素のフラビン(FMN)の共鳴ラマンスペクトルの測定条件を再検討し、重水置換効果も検討し、フラビンは溶媒と相互作用が可能であることを明らかにした。この結果は共鳴ラマン分光測定の妨害要因であるタンパク質部分が分子量100万もあっても測定可能な条件が確立されたことを示している。また色素を含む不純タンパク質を全く含まないF_1F_0ATP合成酵素の調整に成功したので非共鳴ラマン分光測定を開始した。NADH-ユビキノン還元酵素とF_1F_0ATP合成酵素の結晶化条件にはリン脂質添加が重要であることが二次元結晶の電子顕微鏡観察により明らかになった。変性していない酵素のモノクロナール抗体の調製に手間取ったため、結晶化の検討には到達していない。なお、NADH-ユビキノン還元酵素とウシ心筋チトクロム酸化酵素のモノクロナール抗体調製も開始した。
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