研究課題
ウシ心筋チトクロム酸化酵素の結晶化条件とX線回折実験条件を検討し、1.4Å分解能に到達した。溶媒領域を考慮すると、この分解能で水素原子レベルの構造解析が可能である。ウシ心筋チトクロム酸化酵素の固有の脂質13分子全ての構造が不飽和結合の位置と立体構造も含めて決定された。またDCCDの結合によるリン脂質の脂肪酸鎖の立体構造変化をX線結晶構造解析により明らかにし、脂肪酸鎖がO_2の酵素還元部位への供給を制御していることを明らかにした。さらにZn^<2+>およびCd^<2+>がO_2還元のためのH^+供給経路の人口にあるHis503に結合し、プロトンポンプを阻害することを証明した。これは、50Å以上の遠距離相互作用を示すものであるが、Zn/Cd結合部位とポロトンポンプ系との間にはX線構造の変化は全く認められない。ウシ心筋チトクロム酸化酵素のX線構造より予想されるH-経路のペプチド結合と水チャネルの部位特異的変異により、この経路がプロトンポンプ経路であることを実験的に証明した。これまで細菌酵素の部位特異的変異解析から、D経路がプロトンポンプ経路であるとも主張されてきたが、その主張の根拠について詳細に検討し、実験的には完全に証明されたとは言えないことを明らかにした。NADH-ユビキノン還元酵素およびF_1F_0ATP合成酵素の二次元結晶化に重要な進歩があった。前者は37℃の温度アユーリングにより二次元配列の規則性が大幅に改善され、オプティカルディフラクシンが確認できた。また分子節とSDSゲル電気泳動により、37℃処理がサブユユット組成に影響を与えることを示す結果は得られなかった。したがって、この結果は本酵素全体の結晶化が可能であることを実証するものである。F_1F_0ATP合成酵素もこれまではドメインの構造しか報告されていなかったが、サブユニットの全く欠損していない酵素表品の二次元結晶化に成功した。
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