研究課題
二重殻構造をしているレオウイルス科のウイルスは12の属から成り、人、家畜、魚、昆虫、植物など広範な生物を宿主としている。本年度は各種植物レオウイルスが各種タンパク質を素材にして自己組織化する機構及び、増殖後のウイルスが細胞内を移動し、細胞外へ排出されるに至るプロセスの一端を解析したウイルス媒介に関与する昆虫細胞因子群の機能解析について、イネ萎縮ウイルス(RDV)と同属のイネ・ゴール・ドワーフ・ウイルス(RGDV)は、感染した媒介昆虫であるツマグロヨコバイの細胞内においてミトコンドリア周縁に局在するが、RDVは局在しなかった。解析の結果、RGDVに強いミトコンドリア局在シグナルが存在することが判明し、本ウイルス粒子の外殻を構成するP8タンパク質の外表面に配置された151-213のポリペプチド領域が結合に関与することを明らかにした。また、RGDVの媒介昆虫ッマグロヨコバイの細胞には、増殖したウイルスをマイクロチューブを介した輸送により排出する機構が存在することが判明し、ウイルスに感染した昆虫宿主において、宿主サイドの因子がウイルス複製のプロセスに関与していることが明らかになった。RDVは、キャプシド内部でRNA依存RNAポリメラーゼにより12本に分節した二本鎖RNAの複製を同時かつ連続して行い、転写したmRNAを細胞質へ放出する。この効率的な転写機構は、キャプシド内部に12本に分節した二本鎖RNAが、正二十面体の各頂点に転写構造複合体を中心として螺旋状に、かつ液晶状態で機能的に組織化されることで可能となっていることがクライオ電顕を用いた構造解析により明らかになった。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件)
The Journal of Biochemistry 5
ページ: 1-8
植物防疫 64
ページ: 16-18
Journal of Virology 83
ページ: 10830-10835
Communicative & Integrative Biology 2
ページ: 1-3
顕微鏡 44
ページ: 82-86
日本結晶学会誌 51
ページ: 73-74
VIRUS REPORT 6
ページ: 52-61
大阪大学超高圧電子顕微鏡センター平成20年度年報 37
ページ: 41-44