研究課題/領域番号 |
16087210
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 主税 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 研究グループ長 (00357146)
|
研究分担者 |
川田 正晃 独立行政法人産業技術総合研究所, グリッド研究センター, 研究員 (20356843)
三尾 和弘 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 非常勤職員
|
キーワード | 蛋白質 / 電子顕微鏡 / ナノバイオ / 画像、文章、音声認識等 / 神経科学 |
研究概要 |
単粒子構造解析において、試料作成や電子顕微鏡画像撮影と並んで構造解析の成否を決めるのが、電子顕微鏡画像データの解析である。画像データ解析過程には、画像データの位置合わせ、画像の分類、画像間の3次元での角度決め、さらには画像からの三次元再構成などの処理がある。この中でも最も難しく、同時に分解能を低下させているのが、3次元での角度決め、さらには画像からの三次元再構成である。これらの問題を同時に解決するプログラムの開発に成功して、現在国際誌に投稿中である。また、処理に時間を要し全体の処理のネックになっている計算部分は、多参照による位置合わせ(Multi-reference alignment(MRA))の部分である。このMRA処理過程を高速化し、単粒子構造解析によるデータ処理の効率化を図ることを目的に、グリッド技術を用いた超並列計算システムを構築した。本システムでは、グリッドRPCの参照実装であるミドルウェア「Ninf-G」を用い、超並列クラスタ計算機上で安定して高速計算処理を行うことに成功した。 解析する試料としては、Caイオンチャンネルを用いる。このチャンネルは、細胞に到達した情報を細胞内へと伝達する重要なセカンドメッセンジャーであるが、精製の過程において非常に活性を失いやすいため、その構造解明が進まなかった。本研究では、これらの蛋白質の精製と電気生理的な活性の測定をさらに高効率なものにするために電気生理のシステムを整備し、イオンチャンネル活性を容易に測定できるようにし、その精製法を確立した。これらの研究によって、人間の生理機能や新薬開発における重要性にもかかわらず構造解明が遅れていたCaイオンチャネルの構造を世界で初めて負染色によって明らかにした。本精製法と決定された構造は現在J.of Structural Biologyに投稿中である。
|