研究課題/領域番号 |
16089202
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本村 凌二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40147880)
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研究分担者 |
高田 康成 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10116056)
池上 俊一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70159606)
松本 宣郎 東北大学, 大学院・文学研究科, 名誉教授 (60011368)
樋脇 博敏 東京女子大学, 文理学部, 教授 (70251379)
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キーワード | 古代ローマ / カンパニア / 社会史 / 心性 / 表象文化 / 言語文化 / 日常生活 / 宗教 |
研究概要 |
20年度は、まず前半において、6回の研究会を開き、新しい研究文献を整理し、当面する現地調査の作業活動をめぐって検討した。本研究プロジェクトの狙いは、なによりも古代カンパニアの自然環境に取り囲まれて住む人々の目に映った生活環境を探究しながら、古代人の心性を掘りおこすところにある。そのために、これまでの探索でもれた地域を調査することが当面の課題となった。その場合、古代人の目に映る風景は、現代人の目に映る風景と形象としても心象としても同じではないことは充分に留意しなければならない。たとえば、ポンペイの港は現在は内陸部に埋もれており、それとは逆に、港湾都市バエアの沿岸部は水没しており、今日の景観とはかなり異なっているのだ。 このために9月にカプリ島、クーマ、スタビア、バエアなどのカンパニアの古代遺跡のなかでこれまでデータに取り込めなかった地点の数々を詳細に調査した。そこでは専門知識を有する大学院生を研究協力者に要請し、調査の範囲を拡げることに努めた。大規模な邸宅および中小規模の住宅の映像記録を収集するとともに。それらが生活空間のなかで利用される仕方を調査した。そのためには、現地に残る碑文や落書きのその場における映像記録も不可欠であり、それらのデジタルカメラ撮影およびデジタルビデオ収録とともに、さまざまな実測結果を詳細に記録した。その後、収録・撮影した資料をデータベース化するとともに、6回にわたる研究会を開き、個々の資料について相互連関的に検討し整理した。これらの作業を通じて、生活習俗は古代人の目に映る風景の背後に厳然と刻まれており、彼らの心象風景を感知し再現するために、儀礼慣習の有様を言語資料の上で確認することに努めた。そのために、『ラテン碑文集成』CILの第4巻の索引を全面的に加筆・修正する作業が推進された。
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