研究分担者 |
中田 節也 東京大学, 地震研究所, 教授 (60128056)
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70222354)
金子 隆之 東京大学, 地震研究所, 助教 (90221887)
米田 穣 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30280712)
鎌田 桂子 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20192544)
|
研究概要 |
平成21年度は遺跡内で考古班による新たに発掘作業が進行した部分の地質学的調査を行うとともに,周辺地域の地質調査を行った.前年度採取した土石流,火砕流からの試料を用いての地磁気測定を継続した.21年度の発掘終了間際に遺跡南部の敷石上に白色軽石を含む土石流堆積物が発見され,この白色軽石の噴火年代の判定が遺跡の建造年代に手がかりを与えることが予想されたため,経費を次年度に繰り越し,この部分の再調査および遺跡建造物の基礎部分の試掘調査を22年度に行った.採取した白色軽石をXRFによる化学分析を行った結果,約3000年前のヴェスヴィオ山噴火噴出物のほか,AD79年噴火噴出物も含まれることが判明した.同様の結果が建造物の基礎部分から採取された白色軽石についても得られ,更に採取された炭質物の年代測定結果と併せると,遺跡の建造がAD79年噴火以降であり,紀元2世紀頃と考えられることが分かった.また,472年噴火噴出物のうち降下スコリアに関して,層序ごとに採取した試料の石基組成を求め,熱力学モデルにもとづくMeltsプログラムによって圧力下での結晶作用のシミュレーションを行った.この結果をもちいて,それぞれのマグマが噴火前に存在した深さと温度とを推定したところ,472年噴火前に二つの異なる深さに組成の異なるマグマが存在し,噴火直前により深部のマグマが浅部の分化したマグマに貫入,一部マグマ混合を起こして,上部から順番にマグマを噴出したと考えられることが分かった.この結果は5月にスペイン,カナリー諸島のテネリフェで開催されたCOV6で発表を行った.また,ヴェスヴィオ火山との比較研究を続けてきた富士火山についての研究成果をJVGRおよびIsland Arcに公表した.
|