研究課題/領域番号 |
16089205
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武内 和彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90112474)
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研究分担者 |
杉山 信雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012040)
西村 幸夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20159081)
小口 高 東京大学, 空間情報科学センター, 教授 (80221852)
宮脇 勝 千葉大学, 工学部, 准教授 (30280845)
青木 賢人 金沢大学, 文学部, 准教授 (30345649)
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キーワード | イタリア・フィリピン・三宅島 / 国際研究者交流 / ランドスケープ / 火山 / 自然環境 |
研究概要 |
平成20年度の調査・研究は、平成16年度より継続しているイタリア・フィリピンでの研究を進めるとともに、国内の火山噴火罹災地の事例として東京都三宅島でも研究を行った。 分析・方法 : イタリアでは、ローマ時代遺跡出土の炭化木片や炭化植物種遺体の同定を中心に進め、ヴェスヴィオ山周辺の他の遺跡での出土例と比較した。フィリピンでは、ピナツポ山周辺においては、現地における地形調査ならびに衛星画像を用いた解析により植生の回復過程について検討した。三宅島での研究は、本研究費で雇用されている研究員が調査を行っている弥生時代中期の遺跡(坊田遺跡)を対象として、出土炭化植物種遺体の検出および花粉分析により周辺環境の植生変化分析を行った。 結果 : イタリアの事例では、これまでに出土した炭化建築部材のなかにクリが多く含まれていることが判明した。そして、それらの資料をAMS年代測定法で分析した結果、紀元後1世紀のものが確認された。ヴェスヴィオ山周辺には紀元後1世紀の遺跡は多いものの、クリを用いている例はなく、部材として用いられた最も古い例となった。また、遺跡からは紀元後5世紀ごろのクリの皮が出土したため、DNA分析を行ったが、DNAを抽出することは出来なかった。 フィリピンでは、1991年の噴火におる大規模な泥流からの植生復元が50〜100年の間に行われたことが推定された。熱帯に属するフィリピンでの回復過程に比べ、イタリアの遺跡での事例は、より長い時間をかけて回復していったと考えられる。 三宅島では、弥生時代中期の坊田遺跡において伊ヶ谷沢スコリア火山灰層の上下での花粉分析の結果、ハチジョウススキが群生していったことが明らかとなり、西暦2000年の噴火後の過程と類似して・いることが判明した。
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