研究概要 |
1.イタリア・ソンマヴェスヴィアーナ遺跡の探査 一昨年度に表面電位探査を実施した領域について,発掘結果と探査結果の照合を行った。その結果,探査ではアプシス等の構造をとらえられていた。今年度は発掘遺構の南側を中心に165m×10m、77m×5mの2領域を二極法による探査を実施し、三次元解析を行った。 2.開聞岳の874ADの噴火罹災遺跡の探査 (1)開聞中学校校庭:枚聞神社の噴火以前の推定地とされる開聞中学校の昨年度の探査では、石垣と思われる反応がとらえられた。今年度は地中レーダによる広範囲の探査を行い、石垣様遺構の走行とその他の遺構の存否を探った。その結果、石垣様反応は開聞岳山頂に向かい直線上に続くことが確認できた。また、同じ方向性を持つ方形の反応が1カ所あるいは2カ所認められた。 (2)敷領遺跡:昨年度に引き続き、さらに西側の2カ所の領域で地中レーダ探査を実施した。探査範囲が狭く遺構と判断できる特徴は得られなかったが、「紫コラ」直下の地形は推定できた。 3.ローマ時代の鉛汚染の有無を調べることを目的として、ソンマヴェスヴィアーナ遺跡で472AD、512AD、1631ADの各テフラに埋没した土壌と周辺土壌から採取した8試料を対象に、鉛含量が多い4試料を用いて鉛同位体分析を行った。その結果、遺跡土壌の206Pb/207Pb比は1.2111-1.2189で非鉛汚染土壌の規準範囲を示した。一方、現表土の数値(1.1939)からは,人間活動に起因する土壌の鉛汚染が認められた。試料数の限定はあるものの遺跡土壌を活用した本研究により、イタリアにおける土壌鉛同位体比のバックグラウンド値を提示する貴重なデータが得られた。 4.ソンマヴェスヴィアーナ遺跡発掘の変遷を引き続き形状計測センサを用いて記録した。また、色彩記録にスペクトル計測方式を用い、対象物の真色推定を行った。
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