研究概要 |
1. 鹿児島県指宿市の中敷領地区において, 地中レーダ探査により, AD874年の開聞岳噴火で埋もれた住居跡を発見した。この遺構はAO3班により発掘が行われ, 残存状況のよい住居跡であることが確認された。2005年からの発見結果をGISを用いて統合することにより敷領遺跡の範囲をほぼ確定することができた。また, 2007年に発掘された畑遺構では, AO3班と共同で, 土層の乱れ部位の土壌性状に関する調査・分析を行った。 2. イタリアのソンマでは, AO1班により発掘が続けられている「アウグストウスの別荘」遺跡にて磁気探査および電磁誘導探査を契施し, さらに北側に50m以上建物が延びている可能性を発見した。また, AO7班と共同で, 水源とされるソンマ山麓の滝壺の土壌堆積の様子を, 電気探査および地中レーダ探査により調査した。さらにヴェスビオ山のAD472年噴火の埋没土層分析に基づいたソンマ周辺土壌の肥沃度に関する研究のとりまとめと海外投稿・査読対応を進めた。 3. AO7班と共同で, フィリピンのピナツボ山オドーネル川上流の火山泥流災害地域を対象とした根粒菌共生植生の侵入と地力回復過程の調査・分析を実施した。 4. 浅間山吾妻火砕流災害後の開発と地力回復過程に関する調査・分析を実施した。 5. ソンマの発掘経過をレーザ計測機により3次元記録したほか, 多重露出全周囲画像を取得して形状モデルへ貼り合わせる手法を開発し, より豊かな色彩の3次元モデルを得ることに成功した。また、複合現実感(MR)技術により, 現在の遺跡上にCGで描いた被災前の建物等を違和感なく重ね合わせて見られるシステムを開発し, 一般来訪者へ向けた公開デモを行い, 往時の様子を高い臨場感とともに体験してもらった。また, 東北大学の芳賀京子准教授と共同で, ナポリ国立考古博物館所蔵の彫像群の3次元形状記録による比較から, その製作工房や製作過程を明らかにした。
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