研究概要 |
1. 鹿児島県指宿市敷領遺跡では,地中レーダ探査と磁気探査を実施し,遺構と見られる反応を示した箇所を発掘した結果,3m×3m,高さ10cmほどの土壇状遺構とその中央に鍛冶炉と見られる炉跡が発見された。敷領遺跡では,2004-5年度の水田遺構,2007年度の畠遺構,2008年度の住居跡,そして2009年度の生産遺構(鍛冶炉)の発見と,874年の開聞岳噴火で埋没した平安時代の村の様子が明らかになってきた。 2. 鹿児島県指宿市敷領遺跡発掘調査住居址で検出された貞観・仁和年間の火山灰の薄互層の性状分析から,罹災後の土地・家屋の放棄が示唆された。 3. 三宅島坊田遺跡において土壌調査を行い,伊ヶ谷沢スコリア堆積層を挟む2つの埋没黒色土層と、現在の畑と林地の性状分析から,弥生期遺物包含層は黒ボク土としての際立った特性が示され,伊豆地区では採草を主体とする土地の機能が高かったと考えられた。 4. 浅間山天明3年吾妻火砕流罹災地の六里ヶ原周辺で植生と土壌の調査・分析を行い,土地機能回復過程における人為的影響について検討した。 5. フィリピン・ピナツボ山オドーネル川上流域の1991年火山泥流災害後の植生回復と地力に関する調査の分析結果をまとめた。 6. イタリア・ソンマヴェスヴィアーナ遺跡では,本年度新たに発掘された部分についてレーザ計測を行い3次元幾何形状を取得し,昨年度までの結果と合わせて本年度末までの発掘現場の正確な3次元形状を得た。全方位カメラおよび通常のカメラで発掘現場全体の色彩情報を取得した。また,一部色彩が明瞭に残っている部分にはスペクトルカメラによる詳細な色彩情報を取得することにも成功した。
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