研究概要 |
平成18年度までの研究成果に基づき、今年度は敷領遺跡内の別地点についての発掘調査を行い,874年の開聞岳の噴火によって埋もれた当該地域の土地利用及生活環境の復元関するデータの收集を行った.発掘調査地点は一昨年度の水田跡を検出した地点より直線距離で北西150mほど離れたところで,小字名をとって楠田地点とした。今回も事前に東京工業大学の亀井教授の研究班にって物理探査を実施し,その結果を見て発掘区を設定した。 調査は、8月17日〜9月1日まで、実施された。調査面積は12m×7mで84m^2、検出した遺構は9世紀後半の噴火にゆる降灰で埋没した畠で、調査区内のその畝の末端がありこのへりを回るようにして設けられた道跡があった。 調査区内に7本の畠の畝が認められた。畝の幅は0.6m〜1.2mで大半が東側に延びていて発堀区の外であり、全容はわからない。調査区の壁面、畠の畝の上の部分に土層の乱れが見られる。とくに874年に噴出した火山灰である紫コラに挟まれて茶色の帯がうねって横たわっている状況が観察された。このことは、この畠には火山灰が降り注いでいるときはそれが作物であるかどうかは別にして、何らかの植物が生えていたことがわかる。すなわち、植物が立っているときに火山灰が降り始めてその重みで植物が倒れたことが想定できるのである。 これまでの調査によって、敷領遺跡内の生産に関わる遺構、水田跡および畠跡の存在が明らかになり、それらが遺跡内に占める区域が明らかにされつつある。次の課題は、これらの土地で生産に従事していた人々の生活の場を見いだしていくことにあるだろう。 また、関連する調査遺跡として、東京都三宅島のココマ遺跡の発掘り調査を、本特定領域研究のA-6班と共同して鷹のを団長とするは調査団を編成して実施した。調査成果は次年度公表の予定である。
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