研究課題/領域番号 |
16089207
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
鷹野 光行 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (20143696)
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研究分担者 |
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (90141986)
近藤 恵 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 助教 (40302997)
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キーワード | 考古学 / 火山 / 噴火罹災地 / 環境変動 / 建物跡 / 復旧作業 |
研究概要 |
平成19年度までの研究成果に基づき、874年の開聞岳の噴火によって埋もれた当該地域の土地利用及び生活環境の復元に関するデータの収集を行った。17年度に水田跡を発掘し、昨年度は畠あとを検出したので、今年度は住居・集落地の特定を目指した。指宿市教育委員会の協力を得て敷領遺跡内に数カ所の試掘地点を設け、そのうちもっとも建物跡の存在が明瞭そうな中敷領地点を東京工業大学の亀井教授の研究班によって物理探査を実施し、その結果を見て発掘区を設定した。 調査は、8月17日〜9月1日まで実施し、調査面積は12m×7mで84m^2、9世紀後半の噴火により罹災した建物跡を検出した。建物は2間×3間、内部中央に炉を持ち、建物の外周に板壁を支える土盛りのみられる構造であった。建物内には、開聞岳の噴火による火山灰(通称紫コラ)の堆積はみられず、代わって火山灰が水に流されたとみられる2次堆積層が検出できた。また建物の外側にも紫コラが堆積せずに2次堆積層のみがある部分があり、おそらく道跡と考えられる。特筆すべきは、建物の外側に固い紫コラが堆積せず、それが撹乱されたような形で残っていたことである。建物の周り、また道上など、噴火直後に人が戻ってきて火山灰を除去するなどの行為の結果であろうと考えられる。 これまで3回の調査によって、敷領遺跡内の生産に関わる遺構、水田跡および畠跡の存在、およびそこで生産活動の従事した人々の生活の場と当時の人々の噴火後のそれぞれの土地への対応が明らかになったことになる。また関連する遺跡として、東京都三宅島ココマ遺跡の発掘調査を本特定領域研究のA-6班と共同して鷹野を団長とするは調査団を編成して実施し、調査成果を報告書にまとめた。 また調査遺跡の相対化のために、日本国内の富士山、磐梯山、有珠山、ニュージーランド、フランス、イタリア等の火山噴火罹災地の踏査を行った。
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