研究概要 |
本年度においては,これまでの研究成果を発展させる形で,わが国の著作権法・商標法・不正競争防止法に関する各国の制定法について検討し,諸条約上のルール及び外国法との比較検討を行い,わが国の著作権法制の特徴を踏まえたうえで,世界に向けて情報発信すべき内容について具体的に検討した。判例英訳の作業は,特許班と連携しながら従来の作業をさらに発展させており,著作権法に関する重要判例は,ほぼ網羅的に英訳作業を終了し,ウェブサイトに掲載するに至っている(http://www.tomeika.jur.kyushu-u.ac.jp/h_patent/index.html)。 また,今年度は,日本企業と取引をする外国の事業者及び実務家が,日本法の全体像を理解し,法改正及び判例・学説の動向を把握できるようにするため,著作権法に関する概説書を執筆し,それを英訳してウェブ上で公表する作業を開始した。これについても,すでに著作権法に関する一般的な導入,著作者人格権,著作権の経済的利用など,予定する概説書の半分に相当する箇所の執筆を終了し,英訳作業をほぼ終了するに至っている。 国際著作権法をめぐる国際裁判管轄及び準拠法決定の問題については,アメリカ法律協会(ALI)及びマックス・プランク無体財産法及び競争法研究所(MPI:ミュンヘン)がそれぞれ「原則」をまとめる作業を行っている。2007年2月23日には,MPIミュンヘンは,MPIハンブルク(外国私法及び国際私法研究所)と共同で,国際裁判管轄に関するブリュッセルI規則及び契約準拠法に関するローマI規則提案について,特に知的財産権の取り扱いに関する提案を提出しており,意見が集約されつつある。本年度は,このMPI及びALIの動きについても引き続きフォローアップしており,2年以内にはMPIと共同のシンポジウムを行い,その研究成果を還元することを予定している。(http://www.mpipriv.de/ww/de/pub/aktuelles/content3075.htm)
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