1.外人法規制の法文上の整理 ・外人法(外国的要素を有する者による財産権の取得や事業活動等を規制・監督する法)についての現行法上の規制を、平成16・17年度に、その法源や対象に着目して整理した。 ・「会社法制の現代化」(平成17年の会社法の大改正・法典化)において外人法上問題となったのが擬似外国会社である。擬似外国会社とは、日本に本店を置き、または日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社をいう。多くの外国企業が日本でビジネスを行い、また日本の事業者が内国民から募った資金で投資事業を営むときに外国の法人形態(ケイマンのLPなど)を用いることも少なくないが、わが国の外人法に関するこれまでの学説・判例・実務は蓄積が不十分で、日本経済の国際化に対応し切れていない。 会社法現代化の議論の過程では擬似外国会社に日本商法を適用する現行ルールの撤廃が有力であったが、われわれの研究会ではこの問題について踏み込んだ検討を行い、完全撤廃は国家間の「誘致競争」を招き、その結果として質の低い設立準拠法が世界に拡散するおそれが存在することを指摘した。この指摘は会社法の制定に反映された。 2.外人法に関する理論上の整理 ・平成17年度には、認許制度の沿革を踏まえて、認許を外国判決承認の枠組で捉える近時の有力説の妥当性の検証を進めた。 ・また、これと並行して、外人法適用の大前提となる、内外会社の区別に関する議論を、外人法制定当時の議論にさかのぼり整理した。その結果、(1)この間題は現在いずれも設立準拠法をメルクマールとすることで一応の見解の一致を見ているが、その理由付けは、民商法学者と国際私法学者では大きく異なること、(2)古くは、外人法の問題と会社従属法の問題を明確に分けることは一般的ではなかったこと、という2点の知見を得た。
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