本件特定領域研究である日本法の透明化は、国際取引に関連するわが国の各法分野についてその内容を英語で情報発信し、それによって日本法について外国からの評価・批判を得た上でその内容を再検討し、立法案等を提言することを目的としている。本研究は、各種の取引を支える最も重要な基盤であり、わが国において過去10年間に最も大きい改正を経験した法分野のひとつである倒産関係法を対象とするものである。 司法制度改革の中で、我が国の法令の外国語訳を推進することの重要性は広く認識されるようになり、倒産法分野についても、主要な法令の英訳は内閣府のもとにおいて公的に作成される見通しが立った。そこで、本研究は内閣府のプロジェクトとも連絡をとりつつ、情報発信については、法令の文言の英訳ではなく、(1)倒産法分野における近年の全面改正後においても重要な意義を有する裁判例の紹介、(2)概説やQ & Aの充実、といったものに重点を置くこととした。平成17年度においては、前年度に引き続き、内外の倒産法及び国際私法関連の法令・文献の調査を進めるとともに、英訳する判例の選定、下訳の作成、チェック、英語のネイティブによる英文チェックを行った。現在、公開に向けての最終確認を順次行い、最終的に確認が終了したものから公表している段階にある。 この他、平成17年度においては、公開の前提としてのウェブサーバーの構築等、法令・判例の英訳に関するニーズについての実務家等との意見交換、英文での概説執筆についての執筆・改訂、Q & Aについての質問項目の選定、といった作業を行った。
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