研究課題
肢体不自由者のコミュニケーション支援においては使用者のニーズを満たす支援機器を選ぶと同時に、利用者の特性を正確に把握し、利用者の特性に合った機器を開発することが重要である。本研究においては上記目的のために可動域、巧緻性、動作圧の計測方法を提案した。また、利用者に使いやすい新たな支援技術として、視線検知を用いた文字入力方式および言語情報を利用した効率的文字入力方式を提案した。1 可動域と巧緻性の計測に関しては、大型タッチパネル上に表示されたターゲットを指またはマウススティックで選択する際の所要時間と精度を計測するソフトウェアを開発した。本手法はマウススティック使用など特殊な状況におけるキー操作の特性を解析するために有効であり、マウススティック用の特殊キーボードを試作する上で貴重なデータを得ることができる。2 動作圧の計測に関しては、スイッチ表面にかかる圧力の時間変化を記録するためのハードウェアとソフトウェアを開発した。筋力が落ちた障害者にとっては小さい力で動作し、誤動作しない、適切な動作圧のスイッチの選択は重要な課題であり、本方式はそれを可能にするものである。また、マウススティック使用など特殊な状況におけるキー操作の特性を解析する上で有効なデータを得ることができる。3 視線検知を用いた文字入力方式においては、五十音全体を表示し、視線検知によりおおよその文字候補を選択する第1段階と、第1段階の選択によって選択された少数の文字候補のみを表示し、目的とする文字候補を選択する第2段階からなる文字入力方式を開発した。4 言語情報を利用した文字入力方式は、スキャン法と呼ばれる重度肢体不自由者用の文字入力方式の効率化を進めるための研究であり、入力時には入力文字列に曖昧性を残したままにしておき、漢字仮名混じり表記選択時に曖昧性を解決することにより入力効率を上げる方式である。
すべて 2005
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電子情報通信学会論文誌(D) J88-D-I・2
ページ: 527-535