研究課題/領域番号 |
16091202
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮川 道夫 新潟大学, 工学部, 教授 (50239357)
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研究分担者 |
堀 潤一 新潟大学, 工学部, 助教授 (80209262)
前田 義信 新潟大学, 工学部, 助手 (90303114)
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キーワード | 弱視 / 実体視力評価 / 注視点計測 / 電子拡大写本 / アクセシビリティ |
研究概要 |
弱視者の実体視力は周囲状況により依存し、これが一定値以下になると視覚情報を受容するためには拡大写本のような支援機器が必要となる。本研究では注視能力に注目して環境に依存した実際の視力、つまり実体視力を定量評価する手法を開発し、視覚情報取得に際し各人がどの程度のアシストを受ければよいかを定量的に把握する手法を開発する。次に、弱視者の実体視力を反映した適応型ビューアを開発し、弱視者のアクセシビリティを改善する。以上のように弱視者の情報受容能力を高め、そのQOL向上を目的として以下のような研究を行い、下記のような結果を得た。 最初に実体視力計測システム開発を行った。非接触で被験者の注視点をリアルタイム追跡するシステムは、角膜反射光と瞳孔反射光を測定して注視点を求める固定光学系のシステムとして実現した。測定装置やセンサなど一切身につける必要がないため、心理的にも生理学的にも被験者の負荷とならない利点がある。 試作システムを利用して視力の異なる被験者11名を対象とし、ランダムに提示される注視点指示マーカに対する応答特性を計測、その位置精度と視力の関係、および眼球運動の過渡特性と視力の関係を解析した。計測システムの校正系は来年度開発予定であるため測定結果も予備実験の範囲を出ないが、注視点の位置制御精度は視力に依存し、また過渡特性でも視力による制御特性に差異が観測されたが、後者は個体差も大きいことが判明した。 注視能力から実体視力が評価できることを仮定し、被験者の注視する文字や図の各点にとどまる停留時間を仮の「見えにくさ」の指標としてカメラの拡大率を自動調節するビューアの基本設計を行い、一部を試作した。本年度は主として上述の注視点計測装置とのデータ交換を可能とするシステムソフトウエア開発を行った。
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