(1)データ解析 本年度までに得られている関連データの解析を進めることで、これまでに得た知見を再確認し、深化するとともに新たな実験研究指針を立てた。 (2)来年度以降の研究に関する環境の整備 来年度以降行なう予定である新たな実験のための刺激・装置およびソフトウェアの開発と調整を行い、注意機能研究・有効視野研究としての基礎的実験が実施できる環境を作成した。さらに、高齢者における行動の抑制機能を若年者と比較検討する研究を行なうことを考えており、これについての研究を行なうための環境を整備した。また、高齢者を被験者とするため、若年者を対象とする実験に比べて被験者にかかる負担を軽減する必要があると考えられる。通常の有効視野特性に関する実験を基として、実験設定の変更が必要な点について検討を行なった。 (3)日常生活にける注意質問紙の改良 日常生活の中での注意経験に関する質問紙について改良を行なった。具体的には、注意経験そのものの収集を行って新たな項目の作成、項目を追加した質問紙による追加調査、因子分析による質問紙の因子構造の検討、信頼性の検討、および他の心理尺度や認知課題パフォーマンスとの関連を調べることによる妥当性の検討である。特に、これまでの質問紙は若年層を主たる対象として作成されたものであり、高齢者はあまり経験しないと思われる内容が含まれていた。また、高齢者に特有の注意経験を含む必要があると考えられるので、質問紙の項目自体の検討を目指した。
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