昨年、10月にスタートし、本実験のための2つの予備実験を行った。 予備実験1は、(1)ある製品の操作部を紙片を用いて擬似的に作成させるもの、(2)もう1つは前実験と同様の製品の架空の操作部を提示してどのような理解をするかを見るものである。アンケート行いアンケートの属性調査も行った。結果は以下の通りであった。 ・被験者に共通してある特定の機能を思い描かせやすい形状のものとそうでないものがあることが見られた。 (例:操作部面の左上に配置された大きいボタンは電源機能を思い起こさせる) ・家電製品に対する使用経験が多い、関心が高いほど、指定された製品に対する記述量が多くなった。 ・家電製品に対する使用経験が多い、関心が高いほど、作成させた製品操作部の構成が詳細になった。 ・家電製品に対する使用経験が多い、関心が高いほど、提示された架空の製品操作部に対する類推が多くなされた。 本実験では被験者を100名程度想定しているので、予備調査で得られたデータの精緻化をはかり、高齢者のユーザインタフェースに関する構造を把握する予定である。 予備実験2は、高齢者の認知特性を把握するため、ゲームとデジタルカメラを用いた2つの実験をした。その結果、ゲームから高齢者の記憶保持と状況判断に関する認知特性を把握できたが、被験者数の問題もあり、2つの対象間の有意な関連性をみいだせなかった。しかし、今後の本実験ではゲームと製品との関連性を実証できれば、ゲームの結果から認知特性を把握できると考えている。たとえば、ルールを覚えていないまたは、覚えられないという結果から、製品の使用ルールを覚えていないまたは、覚えられないといった認知特性を把握できる。さらに、認知モデルに基づくアンケート調査から共分散構造分析により、重要度を把握し、ゲームの結果と相互補完することも可能となる。また、記憶容量とタスクとの関係を明確にする予定である。
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