研究概要 |
高齢者の知覚・認知・運動特性を考慮した人間-機械系開発のための基礎研究を行った。まず,自動車用の表示-操作系における操作系の配置法,表示系における表示方向,表示系における記憶構造の配慮が高齢者の作業成績にどのような影響を与えるかを,若年者との比較実験の結果に基づいて検討し,記憶能力が低下した高齢者にとっては,階層構造を有する表示系は不適切であることを示した。高齢者にとって,視線入力やタッチパネル・インターフェースは,低下した運動能力を補う入力ディバイスとして有用であることが指摘されている。しかし,視線入力システムの解像度やポイント精度に関しては,どの程度までが適切であるか,視線入力システムの視線移動方向の影響に関しては十分な基礎データがない。また,タッチパネルは,銀行のATMや駅の券売機など公共の場所で見かけるようになったが,ターゲットの配置方向やディスプレイの傾斜角度に関しては,高齢者・若年者ともに使い易い条件は明らかにされていない。視線入力システムに関しては,入力ディバイスとしての実用に耐えるように,ポイント精度を同定し,高齢者と若年者ごとに適切な精度を明らかにした。また,視線移動方向がポイント時間に及ぼす影響を明らかにし,視線入力を有効活用するための基礎データを得た。タッチパネルに関しては,ターゲットの表示方向が操作性にいかなる影響を及ぼすかを明らかにした。高齢者がインターネットにアクセスする機会が増加している。これまでには,ウェブ画面のデザインに重きを置いた研究が行われているが,高齢者の知覚・認知・運動能力がいかにウェブ画面上での作業のパフォーマンスに影響するか,さらにはウェブ画面の情報量がパフォーマンスにいかに影響するかは示されていない。そこで,ウェブ画面の情報量と知覚・認知・運動能力がいかにウェブ画面上での探索時間に影響するかを明らかにした。
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