研究概要 |
公共空間や都市空間における色彩空間を高齢者や色覚障害者にとって支障の少ないものにしていくためには,現存する色彩空間のなかで色覚障害者や高齢者がどのように見ているか,どのような場合に見誤るのか,例えばどのようなサインだと見つけにくく心的付加が高くなるのか,などを合わせて検討することが必要であり,そのためのデータの収集が不可欠であると考える. 本研究では,高齢者や色覚障害者にとって視認性や可読性の高い色彩空間とはどのようなものであるかを,様々な要素が混在する実空間に即して見いだすためのデータを蓄積することを目的とする。加えて、そのためのツールとして、フィールドワークを効果的に代替し、色彩に関してシミュレーションを行うことのできると考えられる3D映像(立体映像)を応用したシステムの開発を試みた. 結果、5mから20m程度の距離にある対象物に関して、目に負担がなく、自然で臨場感のある映像空間を実験室内に再現することが可能な安定的なシステムと、映像データの処理手順がほぼ確立した。このツールにより対象物の色彩を変化させた3D映像(立体映像)を用いて、若年層と高齢者の2群の被験者により、見え方の違いや対象物を見いだすまでの心的負担などのデータの収集を開始した。 今後は、さらなるデータの収集と分析を重ねていく。
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