研究課題
視覚障害者が点字を読む際の触圧(接触力)と運指(手指の動き)を計測し、これと読み能力(読み速度)との関係を明らかにすること、更にこの知見に基づいて点字指導法を再考することが本研究の目的である。平成18年度には、前年度構築した6軸力センサを用いたシステムを使った実験へと進んだ。実験前に、1ヶ月を挟んで校正を2回行い、精度と場所・時間の安定性を確かめた。その後、点字未熟者から熟達者まで計32人を被験者とした接触力測定実験を実施した。実験の結果、読みが速い人が接触力が軽く、読みが遅い人が強いという従来より主張されてきた関係は見られないことを明らかにした。接触力についてそのほかに、読み返し後に接触力が増加しないこと、行替え時に接触力が急激に下がること、点字熟達者でも触読中の接触力が微細に変動すること、なども明らかにした。触運動については、従来より両手による読みは片手より速いといわれてきたが、この命題も否定された。更に、従来は指の微細運動を伴った読みは遅いといわれてきたが、微細運動を伴っても実用的な読み速度を達成できる人もいた。被験者属性と読み速度の関係では、15歳までに点字の学習を始めた被験者では平均以上の速度を達成した人が多い一方で、15歳より後に点字学習を始めた被験者では実用的な速度を達成できない人の方が多かった。但し、48歳という比較的高い年齢で学習を始めても実用的な速度を達成できた人もいた。触読速度は点字学習開始年齢のほかに、日常の点字使用頻度にも関係していた。今後は、実験結果を活かして、点字学習者の認知負荷を軽減する指導法を考案していく予定である。
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