研究概要 |
線形符号の双対距離と共通鍵暗号への応用に関する研究:共通鍵暗号の安全性は,差分攻撃及び線形攻撃に対する耐性で評価され,差分攻撃及び線形攻撃に対して安全なブール関数の設計が重要となる.そのようなブール関数の設計は-任意の整数dとd'が与えられたとき,符号Cの最小距離はd,符号Cの双対符号C'の最小距離はd'-を満たす符号Cの最小符号長Nを求める問題に帰着される,そこで,任意の整数d, d'に対してNの上界を評価するとともに,代数的手法を用いてその良好な下界を導出した. QoSアルゴリズムに関する研究:各種のパケットをその優先度に応じて効率的に転送制御する複数キューQoSアルゴリズムに関して検討した.一般にQoSアルゴリズムはオンラインアルゴリズムとして定式化される.そして,パケット破棄可能モデルに着目し,複数優先度を持つ複数キューQoSアルゴリズムの競合比を解析し,良好な上界を示すとともに,既存の下界を改善した. VLSI計算に関する研究:3次元チャネル配線と3次元単層配線について考察した.3次元チャネル配線問題に関しては,それがNP困難となる簡便な証明を与え,さらにそのNP完全性を明らかにした.一方,3次元単層配線に関しては,既存の結果を改良し,構成的上界を導出した. 可逆計算に関する研究:出力ベクトルの集合が入力ベクトルの集合の置換である論理回路を可逆論理回路と言い,低消費電力設計,ナノ・量子計算などの応用を持つことが知られている.本研究では,可逆論理回路の全て配線上の縮退故障を検出する最小完全テスト集合生成問題がNP困難であることを示し,可逆論理回路の故障検出問題の計算複雑度を明らかにした. 量子計算に関する研究:グラフの最小全域木問題や最短路問題などに対しては,古典的アルゴリズムより高速である量子アルゴリズムが知られている.本研究では,全点対間最短路問題の量子計算量の非自明な下界を導出し,この下界が既存の下界の改良となっていることを示した.
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