研究課題/領域番号 |
16092206
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 圭介 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教授 (20334518)
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研究分担者 |
渡辺 治 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (80158617)
戸田 誠之助 日本大学, 文理学部, 教授 (90172163)
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キーワード | 暗号理論 / 情報セキュリティー / 計算量 / 相対化 / 暗号プロトコル / 安全性 / 匿名性 / 電子署名 |
研究概要 |
主に、大きく分けて二つの研究成果が得られた。一つめは、暗号の安全性に関する精密な解析手法の開発に関連する、計算量クラスの相対化における妥当な比較の枠組に関してである。計算量クラスの違いを示すことの難しさを議論する枠組に相対化計算の枠組がある。ここでは、この相対化計算の枠組について再考し、妥当な比較をするための制限を導入し、新しい相対化比較の枠組を提案した。その枠組みのもとで、まずBPPとPHの比較を行ない、最終的にはP=PHとなるオラクルを構成することができた。これはPとPHの計算の難しさの差を、標準的な手法では示すことができない、という予測に対する、きわめて強い状況証拠を与えたことになる。 二つめは、具体的暗号方式の提案である。まず、公開鍵暗号に対して近年提案された安全性である匿名性についての考察を行った。そこでは、匿名性をもつ方式を得るためのテクニックを提案するとともに、公開鍵秘匿通信、否認不可署名、リング署名の各々の方式について、その提案手法の適用可能性について論じた。また、既存の匿名性をもつ公開鍵秘匿通信方式を拡張し、より少ない前提条件で匿名性を達成する方式を提案した。これらに加え、ランダムオラクルを用いたプロトコルに対する新たな指標と具体的方式の提案、キーワード検索付き公開鍵秘匿通信方式の安全性の改良、新たな数学的仮定とそれに基づく公開鍵秘匿通信方式の提案、中程度の難しさを持つ関数のモデル化と具体的な関数の提案、認証付き鍵交換プロトコルの安全性指標に関する考察、指定検証者署名への変換が可能なある種のグループ署名の提案を行った。
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