研究概要 |
社会システムや産業活動などに関連して現れる生産計画,環境計画,スケジューリング,最適投資などを始めとする重要な問題の多くは,ブール理論,あるいは,擬ブール理論に基づく離散システム上の問題として捉えることができる. 本研究では,これまで申請者が培ってきた(擬)ブール理論,劣モジュラ関数による構造解析手法を用いて,離散システムの有用な構造的性質の抽出する.次に,その性質を利用することで,計算限界を明らかにすること(高速アルゴリズムの開発,および,計算量下界の提示)を試みる.このことにより,計算科学分野の基礎理論の構築を試みる. 本年度は,マルチメヂィアネットワークなどのミラーサーバ配置問題を一般化させた(フローに基づく)ソース配置問題に関連していくつかの成果を得た.まず,無向グラフにおける一様な枝連結度要求に対するソース配置問題を拡張したラミナー被覆問題に対して計算量を明らかにした.例えば,コストが分離可能な凹関数のときに対する最適なアルゴリズム開発に成功した.また,一般の凹関数の場合は,NP困難であることを示した[M.Sakashita, K.Makino, S.Fujishige : Minimizing a Monotone Concave Function with Laminar Covering Constraints. ISAAC 2005:71-81]. また,一般化ソース配置問題は,要求が枝,点連結度,ネットワークが無向,有向に関わらず,NP困難であり,かつ,近似困難であることを示した.また,貪欲法に基づく最適な近似アルゴリズム開発に成功した[M.Sakashita, K.Makino, S.Fujishige : Minimum Cost Source Location Problems with Flow Requirements. LATIN 2006:769-780]
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