研究概要 |
本研究では,入力要素の値が時間とともに連続的に変移する環境において,要素間の関係が時々刻々と変化するような様々な問題を扱い,数理最適化モデルとして定式化する統一的な手法の検討と,精度の高い近似解及び高速性能を保証するアルゴリズムの開発を目的とする.今年度は,次のような組合せ最適化モデルの形式化および計算量に関する検討を行った. 1.入力として,平面上にn個の移動物体が与えられる.それぞれの移動物体は,あらかじめ定められた折線上を等速移動するものとする.また,平面上の原点には,ロボット・アームが置かれ,ロボットアームは原点を出発して,移動物体を掴み,原点へと回収するものとする.このとき,できるだけ多くの移動物体を回収するような回収順序・スケジューリングを求めるような最適化問題として形式化した.また,配送計画問題および移動物体に対する巡回セールスマン問題との関連とこれらの問題に関する過去の結果についで調査を行った. 2.すべての移動物体が1回以上曲がる折線上を等速移動するような場合には,上記の移動物体回収個数の最大化問題はMAXSNP困難となることを,仕事割当て区間スケジューリング問題(Job Interval Scheduling Problem)からのL還元可能性により示した.このことから,多項式時間近似方式(Polynomial Time Approximation Scheme)が存在することは無く,ある定数近似を保証するようなアルゴリズムしか設計することはできないことを示すことができた. 3.移動物体に対する時間制約に関しても検討を行い,一般の場合にはNP困難となることを示した.
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