研究概要 |
本研究では,入力要素の値が時間とともに連続的に変移する環境において,要素間の関係が時々刻々と変化するような様々な問題を扱い,数理最適化モデルとして定式化する統一的な手法の検討と,精度の高い近似解及び高速性能を保証するアルゴリズムの開発を目的とする.今年度は,次のような組合せ最適化モデルの形式化および計算量に関する検討を行った. 1.入力として,平面上にn個の移動物体が与えられ,それぞれの移動物体は,あらかじめ定められた折線上を等速移動するものとする.また,平面上の原点には,ロボット・アームが置かれ,ロボット・アームは原点を出発して,移動物体を掴み,原点へと回収するものとする.このとき,できるだけ多くの移動物体を回収するような回収順序を求めるような最適化問題として形式化し,すべての移動物体が1回以上曲がる折線上を等速移動するような場合には,上記の移動物体回収個数の最大化問題はMAXSNP困難となることを示した.また,直線上を移動する場合には多項式時間で最適解を求めることができることを示した.これらの結果は,ICTCS2005において公表を行った. 2.移動物体に対する時間制約に関しても検討を行い,すべての移動物体が直線上を移動したとしても,一般の場合にはNP困難となることを示した.また,円周上を物体が移動する場合の計算複雑さと近似可能性についても示すことができた.この結果については,WMSCI2005において公表を行った. 3.高次について分類が困難であるようなデータ集合に対して,正データを分類する問題について検討を行った.より具体的には,正データが含まれる割合,密度を入力として指定し,指定された密度以上に正データが含まれるバンプ領域を見つけることを目的関数とする最適化問題として定式化し,確率的決定木を利用したアルゴリズムを提案した.
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