研究概要 |
最終年度として人と接するためのハードと運動制御ソフトの改良を行いつつ,感覚・記憶・判断・動作,学習系の各モジュールを統合した知能ロボットカーネル上で,(1)人との距離が離れている場合,(2)人と密着している場合,(3)人と物を仲介して相互作用する場合の対人行動実験を通じて,等身大ヒューマノイドにおいて対人行動創成へ展開するための基本機構の構成法を示すことで研究総括を行った. (a)相手の全身動作と注視対象が認識可能なマイクアレイ,ステレオ視覚,高精度視覚,広角視覚を有する高機能視聴覚ヘッドシステム,複雑な対象物の精密作業が可能な高精度ギアモータを利用した多指ハンドの改良を行い,多種感覚の並行処理が不可欠な対人行動における基本機構を構築した. (b)周りに人や物体が存在してもロボットが安全に行動するため,全身の関節力情報を利用した運動制御法を構築し,人がロボットの身体を直接触って操作,誘導可能とし,この行動をロボットが記憶し再生可能で,身体や環境が異なっても再現できるように,環境に対する相対目標関係を記述するガイドチューブ型の目標空間記述法を確立し,人からの誘導を学習可能な対人行動創成の基本機構を構築した. (c)人の存在を確認しながら相手の行為に応じた対人支援行動,人と直接触れ合った状態で人からの働きかけに応じる対人協調行動,人が操作している物体を仲立ちにした対人共同行動において,行動選択と状況推論の高次の知能カーネルモジュール制御を行うタスク計画システムを導入し,ロボットは自身の目標タスクを遂行しつつも,人からの働きかけに応じて目標を切り替えてゆき,サブ目標が達成されていない場合にリカバー可能な機構を実現し,対人行動創成システムの基本機構として位置づけることでその有効性を確認した.
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