研究分担者 |
松木 英敏 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134020)
佐藤 文博 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60323060)
渡邊 高志 東北大学, 情報シナジーセンター, 助教授 (90250696)
関 和則 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20206618)
小倉 隆英 東北大学, 医学部・保健学科, 助手 (10312688)
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研究概要 |
本年度は2chの電気刺激を可能とする埋込小型素子の設計検討を行った.まず神経刺激パルスの非接触伝送を実現するため,電力と波形情報を異なる周波数の磁場で伝送した.2次側はソレノイドを用いた電力受電用コイルと信号受信用コイルからなり,受電された直流電圧を受信パルスでスイッチングすることにより,刺激パルス生成を行った. コアには高透磁率のフェライト(0.7×0.7×10mm)を用い,巻数はそれぞれ最適となる範囲で設定し,電力用は400turns,信号用は50turns,100turnsとした.また,それぞれリアクタンス補償用コンデンサをコイルに並列に挿入し,電力用は100kHz,信号用は1MHzと伝送周波数で共振させることにより,一方の磁場のみを効率よく受電・受信させた.2次コイル同士の結合を下げて信号電圧減衰を防ぐため,種々コイル配置を変えて比較を行った. 上記構成での実験結果に於いて,各2次コイル配置についての結合係数と信号コイルの自己インダクタンス,更に1MHz,0.04mT中での信号電圧との相関関係が得られた.また、本製作コイルは信号電圧の減衰を防ぎながら,高出力化できることが示された.また神経刺激を想定し負荷を1kΩに設定した場合の2ch刺激パルス実験を行った.本検討項目で必要とされる2ch,最大10Vの刺激パルスの非接触伝送が確認でき,素子コイル設計の妥当性が示された. 注入方式による電気刺激の治療標的を明らかにする目的で、片麻痺患者の歩行訓練時に表面電極による刺激を行い、歩行パラメーターの変化を検討した。また痙性麻痺患者の痙縮抑制効果を、同様に歩行パラメーターの変化から検討した。筋緊張の低下した片麻痺患者では、歩行中に持続的な電気刺激を行うことが訓練効果を高めることが明らかとなった。逆に高度の痙縮を示す患者では、15分程度の電気刺激が痙縮を抑制し、歩容の改善をもたらすことが判明した。こうした点から、注入方式による電気刺激は、歩行障害の改善を目的に実施できるものと考えられた。
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