研究分担者 |
松木 英敏 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (70134020)
佐藤 文博 東北大学, 大学院・医工学研究秤, 准教授 (60323060)
関 和則 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20206618)
小倉 隆英 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10312688)
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研究概要 |
今年度は研究の最終年度として超小型埋込み刺激素子の試作を行った, この埋込み刺激素子の給電・通信機構(アンテナ部)では、差動直列の受信コイルを受電コイルに対して対称に配置して磁気的な干渉を抑制し, 回路駆動と刺激エネルギー供給用の受電コイルと刺激波形制御用の受信コイルを一体化することに成功した。外套も含めた素子寸法はφ3.0mm×長さ35mmである. また、刺激波形生成回路部では、受電コイルに印加される電圧振幅, およびスィッチング時間を制御して体外からのパルス振幅, パルス幅のリアルタイム可変を実現した. さらに、給電用, 通信用のソレノイドコイルを同軸上に設置することで広範囲励磁を可能にする体外励磁装置を開発することに成功した. この刺激素子を家兎に埋め込み、その電極部を坐骨神経近傍に1ヶ月間留置して駆動したところ、安定した筋収縮を得ることができた。その際併せて刺激電極の組織反応を検索し、生体留置可能な電極であることを確認した。 この超小型埋込み電気刺激素子による神経刺激に適した身体部位を確認し、病態改善の有効性を検証する目的で、留置式電極の対照としての表面電極による神経刺激効果を検証した。運動機能障害については四肢・体幹筋の運動神経刺激を、内臓機能障害に対しては仙骨部と頸部への刺激を行った。その結果、脳卒中や脊髄損傷その他の神経疾患では求心性神経線維の刺激効果としてのneuromodulationにより運動の随意性の改善が認められた。また、内臓機能障害でもneurgmodulation効果として、仙骨部刺激で難治性の過活動膀胱や前立腺肥大による尿失禁、頻尿、排尿困難の改善、生理痛の軽減、頸部刺激で嚥下障害の改善およびてんかんの軽減効果を得ることができた。超小型埋込み素子は体内浅層のみならず深層の神経刺激をも安定して刺激できるため表面電極より適用範囲を大きく拡大できるものであり、今後ヒト埋込み用の実機が完成することにより、多くの疾病治療に応用できることが期待される。
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