研究課題
磁気共鳴画像(MRI)による標識細胞の検出効率を高めるために、2テスラならびに7テスラ動物実験用MR装置にマイクロ・イメージング用システムを導入し、マウス、ラットをはじめ、サルまでの多彩な動物で、標識移植細胞の追跡を行えるようにMR装置の整備を行った。また、培養細胞へのMR標識剤の導入について、常磁性標識剤の検索と細胞内への導入の最適条件の検索をおこなった。MR常磁性標識剤には市販の超常磁性鉄を含む造影剤、さらには、磁気素材用の鉄製剤を種々試用した。実験細胞としてはアストロサイトやミクログリアなどの培養細胞、ならびに、骨髄の幹細胞を使用し、常磁性標識剤の細胞内導入を試みた。細胞への導入には、センダイウイルスの膜エンベロープ(HVJ-E)を主として用いたが、ポリ-L-リジンも、市販されている種々の遺伝子導入試薬に比べると、効率よく細胞のMR標識化ができることを見出した。このような常磁性MR標識の導入効率は、鉄染色法NMRのT_1とT_2、ならびに、MR画像のコントラストで検討した。同時に標識化細胞の長期間培養により、これら標識は細胞増殖に影響を及ぼさないことも明らかになった。細胞内に導入された3価Feイオンは染色法にて確認し、また、Feイオン濃度は分光学的手法より計測できた。また、脳組織標本においても、同様の鉄イオン染色を行い、MR画像との位置の比較対応をおこなった。このようなMR画像による細胞追跡に加え、近赤外蛍光色素を用いた小動物体内での細胞追跡技法の開発を開始した。このため、近赤外マクロ・イメージング・システムを導入し、合成した蛍光色素プローブが効率良く検出できることを確認した。
すべて 2004
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