研究分担者 |
小達 恒夫 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (60224250)
平譯 享 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 助教授 (70311165)
谷村 篤 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (10125213)
渡邉 修一 独立行政法人海洋研究開発機構, むつ研究所・研究グループ, グループリーダー (00167131)
笠松 伸江 国立極地研究所, 研究教育系, 助手 (90413921)
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研究概要 |
これまでに実施された南極・昭和基地沖合季節海氷海域における研究航海にて採集された各種プランクトン標本及び航海中の船内分析・培養飼育実験データについて、研究分担者を中心に標本処理やデータ解析を実施した. 時系列観測から得られたデータを基に,フランスのグループと共同で,大気中DMS分布を決定する要因について解析した.1999年以降の大気中DMS濃度,大気中MSA(メタンスルホン酸)濃度の時空間変化のタイミングは海水中DMS濃度の時空間変化のタイミングとほぼ一致すること,海水中DMS濃度の時空間変動が植物プランクトンの生物量変動および海氷の張り出し面積の変動に起因することが示唆された.この成果は,国際誌である「Journal of Geophysical Research」に発表した.また,海氷分布に応じて変化すると考えられる植物プランクトンや動物プランクトン分布がDMSおよびDMSP分布に与える影響を評価するため,南極海外洋域,流氷域,定着氷域において海洋観測を行った.定着氷域の観測では,12月中旬からl月下旬までの間の時系列的な海水中DMS濃度データおよび植物プランクトン顕微鏡観察用試料を得た.海水中DMS濃度は,春よりも秋口にかけて増加し,植物プランクトン生物量も同じように光量が少なくなる観測期間後半に増加した.植物プランクトンは,定着氷下であっても夏期には強い紫外線の影響で十分に増殖せず,DMSの前駆体であるDMSPを増加しないため,夏期の定着氷下のDMS濃度が増加していなかった可能性もある.秋期の海水中DMS濃度を比較すると,流氷域,定着氷域,外洋域の順に濃度が高かった.同時期に得られた大気中エアロゾル濃度をみると,同じように流氷域,定着氷域,外洋域の順に濃度が高かった.今後,昭和基地周辺の上空エアロゾルに対する海水中DMSの影響を見極めていきたい.
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