研究課題
南極海インド洋区での季節海氷域から得られたこれまでの観測データを基にし、硫化ジメチルの生成過程と生物過程について、本研究分担者を中心とし解析を行った。その結果、1999年から2003年にかけてインド洋区東部季節海氷域における経年的な変化を明らかにし、国際誌(Journal of Geophysical Research, vol. 112, 2007)に公表した。大気中のDMS,硫黄起源のエアロゾル、また、海塩起源でない硫黄の変動幅は、冬期間の経年変化は少ないが、夏期間で年による差が大きく、この変動は季節海氷域の海水中のクロロフィル濃度の変動と関係することを明らかにした。海氷域の時空間変動は地球環境変動と密接に関すること報告されており、生物生産過程を通して地球温暖化に関連するガス成分の生成過程に結びつくことを見出した。また、大気中の二酸化炭素と生物生産過程についても、これまでの観測結果を解析した。2001年-02年シーズンの時系列観測から、表面海洋中のCO2分圧の時空間分布を明らかにし、夏期間の大気-海洋間の二酸化炭素の交換量を推定した。海洋生物活動と分圧の変動との関係を調べ、特に季節海氷域では実在する渦による融解水が輸送され、安定成層が強化されると生物活動が活発になり、その結果、分圧が低下することを見出した。南大洋の海洋物理現象の変動が海洋生物活動のみならず、炭素循環にも影響を及ぼしていることが示唆され、この結果はGeophysical Research Letterへ投稿し、印刷中である。第48次隊の観測データを極地研のJARE Data Reportsに公表し、その観測結果を極地研の第30回極域生物シンポジウムで発表した。外洋、海氷域、定着氷域でのDMS濃度および生成過程の比較を行った。氷表面から大気へのDMS放射の可能性を示唆した。本年度の海鷹丸・白鳳丸南極航海でほぼ計画通りの試資料を得た。
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