研究分担者 |
小達 恒夫 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (60224250)
平譯 享 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (70311165)
谷村 篤 三重大学, 生物資源学部, 准教授 (10125213)
渡邉 修一 独立行政法人海洋研究開発機構むつ研究所, 研究グループ, グループリーダー (00167131)
笠松 伸江 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (90413921)
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研究概要 |
南極海インド洋区における季節海氷域から得られた観測データを基にし,海洋生物生産過程と地球規模気候変動に影響する生物関連ガスの関係について,研究分担者を中心とし解析を行った.前年度までに得られた結果に加え2007/08年シーズンに得られた海水中二酸化炭素分圧の時空間変動と生物生産過程の変動について解析をすすめた.その結果,リュツォ・ホルム湾沖ではアデリーランド沖ほどの海洋による二酸化炭素吸収はなかったものの,リュツォ・ホルム湾沖合東側は夏季,海洋成層化により生物活動が活発になることによって二酸化炭素の吸収が行われていることが明らかとなった.結果をとりまとめ9月に2008年度日本海洋学会秋季大会で報告を行った.季節海氷域における植物プランクトンの分布を明らかにするため分析・解析を行い,南大洋では珪藻類よりもハプト藻類が優占種となることが多いことが明らかとなった.結果の一部は,学術誌Polar Scienceに投稿した.DMS(硫化ジメチル)の前駆態であるDMSP(ジメチルスルフォニオプロピオネート)濃度と植物プランクトン分布について解析を行った.データを植物プランクトン優占種群に分類すると,海水中Chl.a濃度とDMSP濃度に有意な正の相関が見られた.優占種群別の回帰式を用いて推定したDMSP濃度と実測値にはよい相関があり,このモデルが海洋のDMSP濃度予測に有効であることが示された.DMSP動態に与える動物プランクトンの影響を理解するため,ナンキョクオキアミを用いて飼育実験を行った.その結果,オキアミの排泄によりDMSが放出されることが明らかになった.また,オキアミの消化管にはDMSPが濃縮されており,オキアミが海洋を移動することにより海水中にDMSを散在させる可能性があることが示唆された.DMSに関する成果は2009年7月に行われるXth SCAR Biology Symposiumで報告する予定である.
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