研究課題
本研究の目的は、これまで培ってきたナノマシン技術、位相干渉計測を含む高分解能透過電子顕微鏡技術等をナノ・ハンド・アイ・システムへとさらに発展させ、極微領域の評価の技術として確立することである。最終年度にあたり、これまで開発したナノハンド・アイシステムを用いて評価可能な対象範囲を広げるため、様々の物質や現象について、計測を行った。1.金属対金属探針の読触・融合・分離の計測対象として、これまで用いた金に加え、白金やルテニウムなどのより硬い金属を用いて測定を行った。引張り速度を10pm/Sと極めて遅くすると、硬い金属ほどナノワイヤが長く伸長するなど、材料による差が明確になった。2.金やシリコンのナノゴンタクトに通電した時の、形状変化の測定を行った。ナノワイヤの初期太さが10nm以上の時は徐タにワイヤ径が太くなる方向に変化すること、数nmの場合には徐々に細くなり断線に至ることが分かった。3.金・シリコンの相互拡散と共晶形成の過程の実時間観察を行った。シリコンブロオーブ表面に付着した金のナノ粒子を室温で連続的に観察したところ、個相拡散で金粒子がシリコンの中に溶け込む経時的な変化が見られた。高温での拡散速度(既存のデータ)を室温に外挿した値と、この観測で得た値は良い一致を示した。4.鋭い探針間に高電界を発生させ、それと電子ビームとの相互作用を利用して、針先の電界分布の可視化を試みたところ、ギャップ中に可視化した干渉パターンが、電圧の印加によって移動する様子が観測できた。5.探針間に微小管や、コロイド粒子で修飾したDNA分子束を捕獲し、電気特性などを評価するとともに、それに応力を加えた場合の特性変化の測定を行った。微小管については単一捕獲、ガラス基板上への複数の微小管の再配置、その上でのキネンシン付加ナノ粒子の搬送に成功し、細胞内物質輸送システムの再構成を行うことができた。この場合は水中でないと分子が安定でないため、蛍光法と微分干渉法による光学的な一分子可視化を利用した。また、金属ナノ粒子を付加したDNA分子束のひずみ対電気抵抗特性を測定することもできた。
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