研究課題
今年度は、共優性多型マイクロサテライトマーカーを手軽に作製できる画期的方法を新たに確立し、その方法を用いて対象種を広げて多数の種でマーカー作製を行うと共に、これまでに採集した試料の解析を進めた。主な結果は、以下の通りである。樹木の繁殖特性解析:(1)西表島マングローブ林に試験地を設定し、ヤエヤマヒルギ、オヒルギ、メヒルギの花粉および種子散布の特性を明らかにした。その結果、これらの樹種では近親交配率が高いことが推定された。(2)中国南部の沿岸域のマングローブ林にも試験地を設定し、7樹種の葉を採集した。いくつかの種で核SSRマーカー、葉緑体SSRマーカーを作製し、沿岸4省での集団遺伝地理学的構造を解析した。その結果、遺伝的に類似した近接個体群グループが特定された。(3)ヤチダモの花粉散布と種子散布について,従来の近隣モデルを改良し,定量化が難しかった長距離散布パターンを精度よく推定できるモデルを構築した。(4)ウダイカンバ個体群の遺伝構造解析を行い、埋土種子が集団間の遺伝的構造を緩和することを明らかにした。(5)沢に沿って3kmにわたる長大なカツラのプロットを設定し、SSR多型解析を行った結果、母樹の位置によって花粉散布距離が異なることが分かった。外生菌根菌の繁殖特性解析:(1)富士山試験地でのウラムラサキとキツネタケの繁殖機構を2年間にわたり解析した。その結果、地上部(子実体)、地下部(菌根)とも、一年間でジェネット構造がかなり大きく変化することが分かった。(2)富士山火山荒原のカラマツとダケカンバ幼木に共生する外生菌根菌種についてITS領域を解析した。その結果、先に定着したミヤマヤナギの菌根が、両樹種に共生する菌種の供給源であることが分かった。(3)冷温帯林の主要樹木に共生する外生菌根菌について、DNA解析により種構成を調べた。その結果、極めて多数の菌根菌種が共存することが分かった。
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