研究課題/領域番号 |
16106006
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
田部 道晴 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80262799)
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研究分担者 |
池田 浩也 静岡大学, 電子工学研究所, 助教授 (00262882)
石川 靖彦 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (60303541)
小野 行徳 NTT, 物性科学基礎研究所, 主任研究員 (80374073)
雨宮 好仁 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (80250489)
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キーワード | シリコン / 単電子デバイス / マルチドット |
研究概要 |
本研究では、低消費電力はもとより、低リーク電流、高温動作など理論上多くの利点をもつ2次元SiマルチドットFETを対象とし、単電子輸送を時間的・空間的に制御し、量子セルオートマトンや反応拡散回路といった新しい信号処理機能を開拓していくことを目的とする。 16年度は、主に以下の成果があった。 (1)2次元マルチドットFETの作製 単結晶Siドットが互いに連結した2次元マルチドットFETを作製した。独自に開発してきた「極薄SOIウエハの自律選択酸化(nano-LOCOS)法」により作製したデバイスは、ショットキー型ソース・ドレインの構造をもたせたものであり、ゲートバイアスの極性により単電子および単正孔特性を示した。また、2枚の単結晶(001)Si層をわずかに面内角度をずらせて貼り合わせた、いわゆるバイクリスタル構造を用いてFETを作製した。貼り合わせ界面には、角度ずれに応じた予想通りのらせん転位網の発生を観察するとともに、ごく最近、単電子特性に由来すると思われる電流振動を観測し(2005/03 MRS Spring Meetingにて発表)、人工的に作製した転位利用のデバイスに道を開いた。 (2)不均一マルチドット系の単電子シミュレーション解析 マルチドット系での直流I-V特性をシミュレーションで求めるとともに、パルスゲートバイアスに対してターンスタイル動作(1パルスごとに電子1個をソースからドレインに転送する動作)が不均一マルチドット系でも可能であることを初めて示した。今後、不均一系でも大きな応用範囲の広がりがあることを示唆している。 (3)光照射および高周波電圧印加 次年度以降に本格化させる光照射および高周波電圧印加による単電子輸送制御に向け、測定環境を整えた。予備実験として、マルチドットFETに対して、可視光の分光照射を行ったところ、個別フォトンの吸収によると思われるランダムテレグラフシグナルが単電子(正孔)特性領域に現れることを見出した。光応用への一歩を踏み出すことができた。
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