研究課題
本研究の目的は、社会基盤構造物ストックを知的情報処理技術の利用によって戦略的にマネジメントし、世界的に形成しつつあるマーケットのリーダシップを発揮しようとするものである。本年度は、引き続きフィンランドおよびイランより長期(それぞれ1.5年間、約1年間)にわたって研究者を雇用し、また、カナダ、イギリス、デンマーク、韓国などより研究者を招聘して、これまでの研究成果をもとに、(1)社会基盤維持管理データベース、診断システム、画像処理システムに関しては、山口県が管理する橋梁構造物を対象にさらに実用化を図ると共に、(2)構築したシステムをWeb上(インターネット上)で公開し、使用者からの意見をフィードバックした。これと平行して、(3)平成18年度は、知識や技術を次世代へ伝承する技術・知識伝承システムの構築を行うために、47都道府県にアンケートを依頼しその整理結果に基づいて基本構想を策定し、プロトタイプシステム開発を行った。このシステムは、知識情報処理の技術とバーチャルリアリティの技術を用いて、構造物診断の専門家が、環境条件や発生している損傷を基に、どこを見て、どのように診断しているのかを仮想的に体験し、診断の思考プロセスを理解することにより、技術や知識を学ぶシステムである。また、(4)独自の手法に基づく橋梁ヘルスモニタリングシステム、デジカメ画像を利用した損傷自動検出システムの構築および情報処理技術を援用した下水管網維持管理支援システム開発をVTT(Finland)、他と共同で行い、性能確認を各研究機関で行った。(5)このような全般的検討のために、山口大学が中心になって当地において連絡調整および研究成果の確認を兼ねた再度の国際シンポジウム/セミナーの開催を行った。すなわち、昨年9月に、「4^<th> Infrastructure & Environmental Management Symposium in Yamaguchi 2006」を、また、本年1月に、「3^<rd> Choshu-London Memorial Symposium in Lifetime Engineering of Civil Infrastructure」を、更に本年2月には韓国Yonsei大学と「1^<st> Yamaguchi-Yonsei Joint Seminar on Strategic Lifetime Management for Civil Infrastructures with the Latest Information Technologies」をそれぞれ、本学で開催し、各国の当該分野の現状に関する意見交換を行った。以上、4年目に入る本研究では、研究分担者、海外共同研究者間の連携の基に、特許化、市場ニーズ調査、事業化調査、国際連携を含めて数多くのプロジェクトに発展していく基盤を形成しつつあるといえる。
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